2023年09月24日

ナム戦装備解説②:衣服

ベトナム戦争と言っても範囲は広いのですが、
今回はよく映像作品などで取り上げられる、米軍本格介入(1965年)以降に絞って話をしようと思います。

<ユーティリティユニフォーム>
介入当初着用されていたのは、陸・海兵ともにユーティリティユニフォーム(以下ユーティリティ)です。

シャツをパンツの中にインするタイプの服です。
初期型と後期型がありまして、胸ポケットの形状が初期型は四角に近い六角形、後期型は五角形になっているので判別できます。(写真は初期型)
パンツは初期型がボタン止め、後期型がジッパーになっています。

<ジャングルファティーグ>
ユーティリティはベトナム撤退後も長く使われましたが、戦闘服としては暑いベトナムには合わなかったようです。
そこで熱帯戦闘服(Tropical Combat Uniform=TCU)が開発されます。これが所謂ジャングルファティーグと呼ばれるものです。

胸ポケットが斜めについているのがジャングルファティーグの特徴で、他の戦闘服と容易に区別できます。
(BDUと似ているとか言われますがよく見ると全然似てない)

ジャングルファティーグは4世代に渡る仕様変更がありました。
1stから始まり
2ndでポケットのボタンが隠しボタンになり
3rdで肩のループ(エポレット)が廃止され
4thでリップストップ生地になりました。

つまり各々の特徴としては
1st:ボタンが露出している
2st:隠しボタン&エポレット付
3rd:隠しボタン&エポレット無し&ノンリップ生地
4th:隠しボタン&エポレット無し&リップストップ生地
という感じなので、この点を頭に入れておくと判別できます。


↑1st ボタンが露出している


↑2nd 隠しボタン&エポレット付


↑4th 隠しボタン&エポレット無し&リップストップ生地

・・・といっても、3rdと4thの違いは生地のみなので遠くから見ると見分けがつきませんね。
2ndも装備を着てるとエポレットが隠れてしまうので分かりにくいです。

<ERDL迷彩>
ジャングルファティーグには迷彩柄の物が存在しましてこれが所謂ERDLパターンと呼ばれるものです。
ファティーグの形状は3rdもしくは4th仕様です。(ERDLの採用が60年代末なので、その頃には1st、2ndは旧式になっていた)
更に色合いでグリーンリーフ、ブラウンリーフの2種類に分けられます。
前者はライムグリーンが、後者はカーキ色が入っているので容易に区別できます。

↑グリーンリーフの4thファティーグ


↑ブラウンリーフ
注:ブラウンリーフのファティーグを所持していないため、ベトナム戦後採用の所謂「LCリーフ」の写真になっています。ナム戦装備ではありませんので注意

このグリーン・ブラウンというのはあくまでマニア区分で、生産や支給の際に特に区別されていたわけではないようです。したがって、グリーンとブラウンの生地が混ざって縫製されたキメラみたいなファティーグも存在します。

<おすすめレプリカ>
ユーティリティとジャングルファティーグについては、中田商店で販売しているセスラーブランドのものが入手性も良く出来もいいのでおすすめです。
(他ショップやアリエクでも似たようなのが売ってますが価格を見る限り同じやつかも、誰か買ってみてください)
中田商店の分類は
初期型=1st
中期型=2nd
後期型=4th
になっています。残念ながら3rdがありません・・・。
一度雑に洗濯するとしわしわになっていい感じになるのでおすすめです。

ERDL柄ジャングルファティーグのレプリカは、ドラゴン製の物が高額ですが大変出来が良いです。
セスラーからも出ていますが最近のロットは色がどぎつくて変なんですよね…。


<結局どれを着ればよいのか>
何の・どの年代のコスプレをしたいのかにもよりますが、
陸軍の一般部隊でジャングルファティーグを着たいのであればOD単色の2nd以降が無難だと思います。1stの着用例は少ないです(なくはない)
よく分かんねえ!という人はとりあえずセスラーの中期型か後期型を買っとけば良いと思います。
なお後期型(4th)はリップストップ生地ですぐ乾くのでサバゲーでも便利です。

ERDLについては、特殊部隊や75レンジャー等の斥候部隊が優先されたようで、陸軍の通常部隊が着用している例はあまり見られません。一方で海兵隊は結構着ていたりします。

<タイガーストライプは??>
ナム戦時のタイガーストライプに関しては自分も詳しくなく、奥が深すぎるので踏み入った解説はしないでおきます。
簡単に自分の知っていることだけ別記事でそのうち纏めたいと思います。

<余談>

ERDLのファティーグは映画:戦国自衛隊(1979年)で千葉真一も着ています。
70年代末~80年代はナム戦装備の放出量がエグかったらしく、色々な映像作品でファティーグやERDLを見ることができます。みんなも探してみよう。



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Posted by すけべプラモ at 09:07Comments(0)装備解説(ナム戦米軍)

2023年05月26日

ナム戦装備解説①:序章

ベトナム戦争中のアメリカ兵の装備、所謂ナム戦装備を解説します。

80年代後半、映画プラトーンを皮切りにベトナム戦争を題材にした映画やドラマが多く作られた時期がありました。
当時は実物装備が二束三文で出回っていた事もあり、当時の多くのサバゲーマーがナム戦装備を導入したと言われています。

時は流れて、ベトナム戦争映画も今やほとんど作られなくなっていますが、先述の映画やドラマに名作が多い事もあって根強い人気を誇っています。

今からナム戦装備を始めたい!という方がもしいたら、参考になれば幸いです。
(私なぞよりも詳しいサイトは幾らでもありますが、どれもいつ無くなるかわからないので・・・)

・ベトナム戦争は長い
南北ベトナムの戦いに米軍が介入し始めたのが1955年です。
介入と言っても当初は軍事顧問を送り込み現地軍を指導する形でしたが、これが徐々に増大し、1965年には陸上戦闘部隊を直接送り込みました。
その後撤退したのが1973年ですので、米軍にとってのベトナム戦争は18年もの間継続していたという事になります。
1965年から数えても8年。
8年も経つと実戦経験を経て兵士の装備もかなり変化してきますので、まずは自分の好みの年代を決めましょう。

ちなみに冒頭で述べたような映画で描かれるのは1965年以降がほとんどです、戦う兵隊が主人公なので自ずとそうなりますね。
例えば「プラトーン」では冒頭のテロップや、主人公が独白でテト攻勢に触れている点などで1967年後半~1968年であることが分かります。
所属師団も冒頭のテロップを読めば分かります。親切だ!


どう説明を始めようか非常に悩みましたが
取り敢えず衣服の話からしようと思います。  

Posted by すけべプラモ at 18:00Comments(0)装備解説(ナム戦米軍)