2022年01月12日
集約チョッキ(弾納ベスト) その1
自衛隊装備と呼ばれるものは世の中にたくさんありますが、今回はその中でも、集約チョッキ(弾納ベスト)と呼ばれるものを紹介します。

この集約チョッキ、チェストリグに近いものなんですが、
ここまで本来の用途を果たせないチェストリグを自分は見たことがありません。
本来の用途とは、
・弾薬を格納する
・再装填のため、迅速に弾薬を取り出す
の2点ですが、
この2点の両方を全く果たせない産業廃棄物、それが集約チョッキです。
正直言って使い物になりません。
ゴミと言って差し支えないと思います。
集約チョッキどころか醜悪チョッキだと思います。
それでは、どのような点がゴミと言わせる所以なのか説明していきましょう。
<良いところ>
冒頭いきなりボロクソに貶した集約チョッキですが良いところもあります。
それは
・かっこいい
・防水ポケットのおかげで、布を濡らさずにしまえる
この2点です。
特に1点目が大きく、このお陰で多くの自衛隊ファンを惹きつけ、被害者を確実に増やしてきました。
もちろん私もその一人です。

かっこいい 集約チョッキ 着用例(五七五)
<だめなところ>
主に以下の3点です。
①弾倉を収納できない
②弾倉を迅速に取り出せない
③ポーチ部の蓋を閉じられない
この3点には全て構造上の理由がありますので、1つずつ詳細に解説していきましょう。
①弾倉を収納できない
最初に申し上げますが、これは集約チョッキの容量が少ないという意味ではありません。
各ポーチの大きさは、STANAGマガジンを4本入れても余りが出るほど大きく、
このポーチが4箇所付いているので計16本のマガジンを携行できます。
他のチェストリグと比較しても十分すぎる容量だと思います。

注:ゴムバンド(後述)を取り除いた写真です それにしてもデカすぎるだろ
じゃあ何故収納できないのかと言うと…

集約チョッキには、弾倉の脱落防止用と思しきゴムバンド(写真の赤丸で示した部分)が付いており
これが各ポーチを締め付けるようになっています。
ゴムバンドによる締め付けで弾倉の脱落防止を図るというアイデアは、今日では広く取り入れられており、
決して悪い発想ではないと思います。

例:皆さんご存じのEAGLE製マガジンポーチ
問題はこのゴムバンドの締め付けの強さです。
集約チョッキの場合、ほとんど余裕がないほどにギュンギュンに締め付けられています。
2本目以降は指でゴムを内側から押し広げながら弾倉を突っこまなければならないほどで、3本以上入れるためには相当体力を消耗します。汗だくになります。
先に書いたように、各ポーチの格納数は4本、それが4袋ですから、フル装備にしようとすると大変な苦労になります。
というかやろうとして諦めました。
売られている集約チョッキを見ると、どれもこれもポーチがぐしゃぐしゃに潰れています。これがゴムバンドのキツさの証明です。

もうぺちゃんこだよ 物凄くダサいです
②弾倉を迅速に取り出せない
これはさっきの逆で、ギュンギュンにゴムで締め付けられた弾倉の束から、1本の弾倉をスパッと抜き取れるかという話ですね。
もちろん無理です。
③ポーチ部の蓋を閉じられない
集約チョッキは、ポーチ前面に配置されたファステックスを使って蓋を閉じるようになっています。
オスが蓋側、メスがポーチ側に取り付けられています。

バックル形状に注目 上側がオスですね
注:ゴムバンド切断済
ファステックスを閉じるときは普通オスを持ってメスに突っ込むので、この配置は良さそうに思えますが…
メス側の基部がフリーになっているため、一度ファステックスを外すとメスが重力で下を向いてしまいます。

180度フリー!!!
なので、片手でファステックスを開放し弾倉を取り出して、蓋を閉めようとすると…
メスが下を向いてるせいでめちゃくちゃ閉めづらいのです。
ちなみに、先述のゴムバンドがメスのファステックスと同じ位置を通っています。
じゃあゴムバンドを使ってメスを固定すればいいじゃん!と、誰もが思うのですが…

ゴムバンドの下にファステックをくぐらせればいいじゃん、と思うでしょ?
ギュンギュンのゴムバンドなので、当然ファステックスに指が届かなくなり、
今度は蓋を開けられなくなってしまいます。
この欠点がかなり致命的で、普通にサバゲーで使用しようとすると、
「ギュンギュンのゴムバンドのおかげでとりあえず弾倉は固定できているが、蓋は開きっぱなしなのでファステックスがブランブランしている」
という悲しい絵面が生まれます。
ファステックスを使用している装備品は数えきれないほどありますが、メスを完全に固定しているorメスが蓋側についていて、重力でオス側を向くようになっている物が多いです。

例:LCマガジンポーチ メスを完全固定

例:元ネタと言われているアークティス製アドバンスドチェストリグ
メスが蓋側

例:SOEベスト メスが蓋側
何故わざわざ元ネタと反対にして使いづらくしたのか?
理由はわかりませんが、恐らく
「閉めるときは当然蓋側を持つから蓋にオスがあったほうがええやろ」
みたいな、至極単純な理由の気がします。
適当という言葉の方が適切だと思います。
そもそもちゃんと蓋をしたとしても、蓋よりポーチの方がデカいせいで
慌てて蓋を閉めるとポーチの口が蓋の横からはみ出します。

赤で示した部分がはみ出したポーチの口です
このせいで安易にゴムバンドを切ってしまうと、蓋とポーチの隙間からマガジンをポロポロ落とす羽目になります。
なぜポーチの口を蓋よりもでかくしてしまったのか?真剣に意味がわかりません。
マガジンをたくさん入れたあとでも指が入りやすいようにしたとかそういう工夫なのかもしれませんがだったら蓋をデカくしろよと言いたい。
【総評】
自衛隊の一部部隊・空挺団向けに製作されたと言われるこの集約チョッキ。
その正体は、見てくれだけの模倣品に思いつきによる改悪を加えた代物でした。
格好は良くても実際に触ってみるとその酷さをひしひしと感じます。
結局制式採用には至らず(当たり前だ)、PX品が現在でも流通しています。近年のロットはファステックスの樹脂品質が改良されているようです(構造は全く改善されてないのが腹立つ)。
新品の価格相場は1万円程度ですが、こんなものを1万円で買ってはいけません。
コレクター市場ではあまり人気がないのか、オークション等で安く手に入ることがあります。私もフリマアプリで2千円程度で購入しました。
今回はここまでにします。
次回記事では、この醜悪チョッキをまともに使用できるように改造していきます。

この集約チョッキ、チェストリグに近いものなんですが、
ここまで本来の用途を果たせないチェストリグを自分は見たことがありません。
本来の用途とは、
・弾薬を格納する
・再装填のため、迅速に弾薬を取り出す
の2点ですが、
この2点の両方を全く果たせない産業廃棄物、それが集約チョッキです。
正直言って使い物になりません。
ゴミと言って差し支えないと思います。
集約チョッキどころか醜悪チョッキだと思います。
それでは、どのような点がゴミと言わせる所以なのか説明していきましょう。
<良いところ>
冒頭いきなりボロクソに貶した集約チョッキですが良いところもあります。
それは
・かっこいい
・防水ポケットのおかげで、布を濡らさずにしまえる
この2点です。
特に1点目が大きく、このお陰で多くの自衛隊ファンを惹きつけ、被害者を確実に増やしてきました。
もちろん私もその一人です。

かっこいい 集約チョッキ 着用例(五七五)
<だめなところ>
主に以下の3点です。
①弾倉を収納できない
②弾倉を迅速に取り出せない
③ポーチ部の蓋を閉じられない
この3点には全て構造上の理由がありますので、1つずつ詳細に解説していきましょう。
①弾倉を収納できない
最初に申し上げますが、これは集約チョッキの容量が少ないという意味ではありません。
各ポーチの大きさは、STANAGマガジンを4本入れても余りが出るほど大きく、
このポーチが4箇所付いているので計16本のマガジンを携行できます。
他のチェストリグと比較しても十分すぎる容量だと思います。

注:ゴムバンド(後述)を取り除いた写真です それにしてもデカすぎるだろ
じゃあ何故収納できないのかと言うと…

集約チョッキには、弾倉の脱落防止用と思しきゴムバンド(写真の赤丸で示した部分)が付いており
これが各ポーチを締め付けるようになっています。
ゴムバンドによる締め付けで弾倉の脱落防止を図るというアイデアは、今日では広く取り入れられており、
決して悪い発想ではないと思います。

例:皆さんご存じのEAGLE製マガジンポーチ
問題はこのゴムバンドの締め付けの強さです。
集約チョッキの場合、ほとんど余裕がないほどにギュンギュンに締め付けられています。
2本目以降は指でゴムを内側から押し広げながら弾倉を突っこまなければならないほどで、3本以上入れるためには相当体力を消耗します。汗だくになります。
先に書いたように、各ポーチの格納数は4本、それが4袋ですから、フル装備にしようとすると大変な苦労になります。
というかやろうとして諦めました。
売られている集約チョッキを見ると、どれもこれもポーチがぐしゃぐしゃに潰れています。これがゴムバンドのキツさの証明です。

もうぺちゃんこだよ 物凄くダサいです
②弾倉を迅速に取り出せない
これはさっきの逆で、ギュンギュンにゴムで締め付けられた弾倉の束から、1本の弾倉をスパッと抜き取れるかという話ですね。
もちろん無理です。
③ポーチ部の蓋を閉じられない
集約チョッキは、ポーチ前面に配置されたファステックスを使って蓋を閉じるようになっています。
オスが蓋側、メスがポーチ側に取り付けられています。

バックル形状に注目 上側がオスですね
注:ゴムバンド切断済
ファステックスを閉じるときは普通オスを持ってメスに突っ込むので、この配置は良さそうに思えますが…
メス側の基部がフリーになっているため、一度ファステックスを外すとメスが重力で下を向いてしまいます。

180度フリー!!!
なので、片手でファステックスを開放し弾倉を取り出して、蓋を閉めようとすると…
メスが下を向いてるせいでめちゃくちゃ閉めづらいのです。
ちなみに、先述のゴムバンドがメスのファステックスと同じ位置を通っています。
じゃあゴムバンドを使ってメスを固定すればいいじゃん!と、誰もが思うのですが…

ゴムバンドの下にファステックをくぐらせればいいじゃん、と思うでしょ?
ギュンギュンのゴムバンドなので、当然ファステックスに指が届かなくなり、
今度は蓋を開けられなくなってしまいます。
この欠点がかなり致命的で、普通にサバゲーで使用しようとすると、
「ギュンギュンのゴムバンドのおかげでとりあえず弾倉は固定できているが、蓋は開きっぱなしなのでファステックスがブランブランしている」
という悲しい絵面が生まれます。
ファステックスを使用している装備品は数えきれないほどありますが、メスを完全に固定しているorメスが蓋側についていて、重力でオス側を向くようになっている物が多いです。

例:LCマガジンポーチ メスを完全固定

例:元ネタと言われているアークティス製アドバンスドチェストリグ
メスが蓋側

例:SOEベスト メスが蓋側
何故わざわざ元ネタと反対にして使いづらくしたのか?
理由はわかりませんが、恐らく
「閉めるときは当然蓋側を持つから蓋にオスがあったほうがええやろ」
みたいな、至極単純な理由の気がします。
適当という言葉の方が適切だと思います。
そもそもちゃんと蓋をしたとしても、蓋よりポーチの方がデカいせいで
慌てて蓋を閉めるとポーチの口が蓋の横からはみ出します。

赤で示した部分がはみ出したポーチの口です
このせいで安易にゴムバンドを切ってしまうと、蓋とポーチの隙間からマガジンをポロポロ落とす羽目になります。
なぜポーチの口を蓋よりもでかくしてしまったのか?真剣に意味がわかりません。
マガジンをたくさん入れたあとでも指が入りやすいようにしたとかそういう工夫なのかもしれませんがだったら蓋をデカくしろよと言いたい。
【総評】
自衛隊の一部部隊・空挺団向けに製作されたと言われるこの集約チョッキ。
その正体は、見てくれだけの模倣品に思いつきによる改悪を加えた代物でした。
格好は良くても実際に触ってみるとその酷さをひしひしと感じます。
結局制式採用には至らず(当たり前だ)、PX品が現在でも流通しています。近年のロットはファステックスの樹脂品質が改良されているようです(構造は全く改善されてないのが腹立つ)。
新品の価格相場は1万円程度ですが、こんなものを1万円で買ってはいけません。
コレクター市場ではあまり人気がないのか、オークション等で安く手に入ることがあります。私もフリマアプリで2千円程度で購入しました。
今回はここまでにします。
次回記事では、この醜悪チョッキをまともに使用できるように改造していきます。